アメリカの企業に比べ、日本企業は収益が低いと言われるが、京セラ創業者の稲盛和夫氏が、中小企業の経営者が実際に直面する問題をいかに解決し、「高収益企業」に近づくかをQ&A形式で答えている。
全国・海外の各地に広がっている盛和塾の活動(稲盛氏が二十年以上続けているボランティア活動)の中で、若手経営者達が、従業員とその家族の生活を守るため、経営哲学や経営指導を仰ぐべく、自然と稲盛氏の周りに集まるようになった。
強い会社というのは、技術だけでなく総合力で優れている、人間性と会社に対する忠誠心を見極めるなど、働き方が変化しつつある昨今においても変わらないマネジメントの手法である。また、なぜ高収益でなければいけないのか ― 会社経営を有利に展開させることができる、それには経営者自身の「心の底からの強い願望」が必要であると説く。信念のもと目標を掲げ、軸からブレない行動力をもった人物像を想像する。
京セラといえば、組織を小集団に分ける「アメーバ経営」も有名であるが、素直な心、熱意、努力といった真摯な生き方を説く同氏だからこそ、心に響く経営者への激励となっており、読んでいると何時しか背筋を正す、そんな心持を抱く。起業を志している学生にぜひとも読んでいただきたい書籍であるが、経営者ならずとも勤め人にとっても共鳴される部分が大いにある内容となっている。
高収益企業のつくり方
推薦文

高収益企業のつくり方
- 著者:
- 稲盛和夫著
- 出版社:
- 日本経済新聞出版社
- ISBN:
- 9784532311735
- 所蔵:
- 中央図書館 開架
335.04:Kos

鳥取大学
地域学部地域学科准教授
馬場 芳