新年号「令和」の出処が万葉集だと聞き、万葉集に興味を持った。そこで、初学者にも分かりやすそうな万葉集解説の本を選んだ。
ユーモアある作者の解説により千年前の人々の願いも、現代を生きる私たちと変わらないと知る。この本により、古典に疎い私でも万葉集をより興味を持つことができた。
特に、携帯電話もない時代の別れの歌が印象的だ。
近畿の都から東の地や大宰府方面に向かう防人の歌が、妻に別れを告げる歌が身に染みた。
赴任中に妻が亡くなり、過ごした家も数年のうちに潰れてしまった夫の防人が歌った歌に対し、解説の「妻と植えた庭の木だけが残っていた」という一文が辛すぎた。
今もメールや電話、SNSという連絡手段があるにも関わらず遠距離は辛いはずなので彼に同情した。
また、酒場の歌も印象的である。昔の人も今の私達も、宴会で酒を嗜み時には飲みすぎる。そして変なことをしでかすのは昔も今も同じだ。
同じ鳥大生の人達に薦める理由は、人が昔も今も同じような行動と思考をすると知って欲しいからだ。
久々に古典に触れる暇つぶしとして、本に載っている原文を音読しつつ解説を黙読して欲しい。きっと、何か感じるものがあるはずだ。
こんなにも面白い万葉集
推薦文

こんなにも面白い万葉集
- 著者:
- 山口博著
- 出版社:
- PHP研究所
- ISBN:
- 9784569845500
- 所蔵:
- 中央図書館 開架
911.12:Kon

鳥取大学
農学部生命環境農学科
松元(P.N.)