住野よるといえば、『君の膵臓をたべたい』を思い浮かべる人が多いであろう。『君の膵臓をたべたい』で読者に驚きと感動を与えた住野よるが、『青くて痛くて脆い』では人間としての傷つき、そして気づきを読者に与える。
これは、2人の「青くて痛くて脆い」大学生の物語である。人を不快にさせないこと、自分が傷つかないことをモットーにする、田端楓=「僕」の視点で書かれている。理想を語る秋好寿乃とかつて2人で結成した秘密結社モアイ。なりたい自分になることを目標に活動していたが、次第に大学内で幅を利かせる就職支援の団体となっていった。「僕」は、結成当時のモアイに作り替えようと行動を起こす。
モアイと戦う「僕」の自己中心的な考えは、子どもっぽいが、いや、子どもっぽいからこそ共感できる部分が多くある。「僕」目線で語られることによって、「僕」に感情移入し、熱くなったり、いらついたり、もどかしくなったりする。しかし、物語終盤の数十ページで、「僕」と一緒に、いかに独りよがりであるかに気づかされる。学生生活の中で心当たりがある人もたくさんいると思う。この気づきを共有したく、私はこの本を鳥取大学の学生に推薦する。
そして最後の1行、モアイと戦った後の「僕」の結論、そして変化に注目してほしい。
青くて痛くて脆い
推薦文

青くて痛くて脆い
- 著者:
- 住野よる著
- 出版社:
- KADOKAWA
- ISBN:
- 9784041052068
- 所蔵:
- 中央図書館 開架
913.6:Sum

鳥取大学
医学部生命科学科
学生