医学は自然科学のひとつの領域ですが、この自然科学はギリシャ・ローマ時代に始まった自然哲学から派生しています。自然哲学は自然現象がどのようなメカニズムで成り立つかを探索してきた学問であるのに対し、人は何のために生き、如何に良く生きてゆくかという問題を探求してきたのは哲学の領域でした。学問の発達は理性の捉え方に関する学問である哲学の発達に支えられてきていますが、医学概念の発達にも哲学が大きく影響しています。
鳥取大学医学部医学科の講義に医学史が取り入れられてから10年が経過します。その参考図書として梶田 昭著「医学の歴史」を使用して参りました。本書は医学発展の歴史はもちろんのこと、その背景にある哲学思想の発展にも触れてあり、医学がどのようにして自然哲学から分化していったのかや、大学の発展の歴史なども面白く盛り込まれています。単なる歴史書以上のものを教えてくれる書物です。作者の先生の文章が素晴らしく一気に最後まで楽しませてくれる本でもあります。一度皆様も手に取ってご覧に頂くことを推薦いたします。
医学の歴史
推薦文

医学の歴史
- 著者:
- 梶田昭著
- 出版社:
- 講談社
- ISBN:
- 9784061596146
- 所蔵:
- 中央図書館 新書・文庫コーナー ほか
文庫:Koh:1614

鳥取大学
大学院医学系研究科
久留 一郎