数学の言葉で世界を見たら : 父から娘に贈る数学

推薦文

数学の言葉で世界を見たら : 父から娘に贈る数学
著者:
大栗博司著
出版社:
幻冬舎
ISBN:
9784344027404
所蔵:
中央図書館 開架
410:Sug

 近年、社会のIT(情報技術)化とAI(人工知能)化が急速に浸透してきています。IT化の身近な例としてスマホを使ったキャッシュレス決済やネット通販などが挙げられ、AI化の例として検索エンジンの最適化や保険商品の最適化などが挙げられます。
 本書はこのような現代社会に不可欠な技術に応用されている「数学」に焦点を当てた内容です。学生の皆さんは、高校まで数学は大学の受験科目の必須であったからとの理由で文系理系問わずほぼ全員履修しています。しかし受験問題を解くことに専念していたために、数学が実社会の何に役立っているのかというスタンスに立って勉強していた人は少ないのではないでしょうか。
 そこで私が本書を薦める理由は、先に挙げたIT技術とAI技術には、高校で習った数学が不可欠であるという切り口で書かれている点に興味を惹かれたからです。例えば通販サイトで使われているクレジットカード番号の暗号化技術には、オイラーの定理を応用したRAS暗号と呼ばれる素因数分解が使われている点や、AIによる重大事故の予測や病気にかかる予測などは条件付き確率が基礎になっている点など、全般的に平易な文章で端的に書かれています。本書は学部学科を問わず文系の学生にも読みやすい一冊として選定します。

鳥取大学
工学部電気情報系学科准教授

竹森 史暁

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