ハッカーズ

推薦文

ハッカーズ
著者:
スティーブン・レビー著 ; 古橋芳恵, 松田信子翻訳
出版社:
工学社
ISBN:
9784875931003
所蔵:
中央図書館 開架
007.3:Hak

 本書にはハッカー文化の始まりからその終焉までが描かれています。
 ハッカーと聞くと、技術力を悪用してセキュリティを破ったりウイルスを作ったりする悪人を思い浮かべるかもしれません。ハッカー精神の要は「汝、それに触れるべからず」と決めつける力を、自らの創造力で否定することにあるので、そう思われてもやむを得ません。ただ、本書によるとハッカーとは、冒険家、空想家、大胆な行動家、芸術家であり、必ずしも犯罪者ではないのです。
 ハッカー文化は1950年代後半にMITで生まれ、1980年代前半に最後の真正ハッカーであるリチャード・ストールマンがMITを去ったときに終わりを告げました。本書には、その間に活躍した多数のハッカーたちが生き生きと描かれています。今日有名なのは、スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツでしょうか。
 ハッカー精神は消えてしまったわけではなく、以後もLinuxを始めとする多数のムーブメントがその影響下で起こり、現代のコンピューティングに様々な影響を与え続けています。
 本書は、コンピュータの歴史を知りたい方にはもちろんですが、カウンターカルチャーに興味がある方、そして若い方全員におすすめできる大変スリリングな読み物です。

鳥取大学
総合メディア基盤センター長

川村 尚生

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