武信由太郎伝

推薦文

武信由太郎伝
著者:
森悟著
出版社:
今井出版
ISBN:
9784866110295
所蔵:
中央図書館 郷土資料 ほか
289:Tak

森  悟著『武信由太郎伝』を推す
 武信由太郎(1863~1930)は明治・大正・昭和を生きた英学者である。現在の鳥取市青谷町に生まれ、東京でその生を終えている。愛知英語学校、札幌農学校で英語を学んだ後は、独力で能力を高めていった。海外へ渡った経験はない。
 武信は日本人による最初の英字新聞The Japan Timesを発刊し、雑誌『英語青年』や『英語世界』を創刊した。早稲田大学や東京高等師範学校で英作文を教えながら、国内最初の本格的な和英辞典である『武信和英大辞典』を世に送り、『英文日本年鑑』(The Japan Year Book)では四半世紀にわたり日本の実像を海外に紹介し続けていった。まさに英学の「巨人」であった。
 英学の歴史に大きな足跡を残した武信であるが、何を言っているのか理解できないほどの訥弁であった。そのため武信は人生の大半を英文の添削に費やしていった。学校での授業はもちろん、自ら立ち上げた英語雑誌に投稿してくる読者の英文を黙々と、ひたむきに添削し続けていったのである。
 そんな武信の一生を綴った『武信由太郎伝』は鳥取県が生んだ偉大な英学者の伝記であるとともに、日本英学史の貴重な資料でもある。

鳥取大学
大学院医学系研究科

教職員

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Theme Index