合成生物学の衝撃

推薦文

合成生物学の衝撃
著者:
須田桃子著
出版社:
文藝春秋
ISBN:
9784163908243
所蔵:
中央図書館 開架 ほか
579.9:Gos

 2010年代は、ゲノム編集技術や人工知能が発達し、ますますSF映画の世界観が具現化されている。「合成生物学」もそのような技術のひとつに位置付けられている。合成生物学とは、人工的に生物や、その一部を作り上げることで、遺伝子の新しい機能や、進化の謎などを解明していく学問である。
 著者の須田桃子さんは、人工的な生命を合成することに対し、肯定的な専門家と、否定的な専門家の両方へ取材を行っている。取材した専門家には、合成生物学に携わっている研究者にとどまらず、国防総省の関係者や、生命倫理学者まで含まれ、各々の立場による価値観や倫理観の相違がおもしろい。軍部の潤沢な研究費を断れない現状を訴える大学院生の意見や、ヒトゲノムを人工的に合成したいという科学者の意見は、将来の科学を担う大学生にとってスリル満点であること、間違いなしだろう。また、染色体工学について学んでいる生命科学科の学生にとっても、身近に感じられると思われる。
 次の10年で、合成生物学はどこまで発展するだろうか。その発展にどのような意義や社会的利益があるだろうか。本書は、「2020年代の生命科学を切り拓きたい」、という学生に最適である。

鳥取大学
医学部生命科学科

宇宙に輝く生命3年(P.N.)

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