地域学入門 : 「つながり」をとりもどす

推薦文

地域学入門 : 「つながり」をとりもどす
著者:
柳原邦光ほか編著
出版社:
ミネルヴァ書房
ISBN:
9784623060245
所蔵:
中央図書館 教員著作 ほか
361.7:Chi

 全国の地域学系学部をリードする鳥取大学地域学部の教育研究の柱を提示するのが、この『地域学入門』である。そこで提示するのは、地域学の①目的、背景と意義、②視点と方法、④展開と生活の知から学ぶことの3点である。人は「安心して幸福に生きていく」ために、何らかの関係(人が支え合う<つながり>)とそのための場(地域)を必要とする。このような「関係」と「場」に必要な条件とその実現を考えるのが「地域学」の役割であり、多様な学問領域とともに「生活の知から学ぶこと」も動員され、地域の実践家との協働を含む地域学の理論化がはかられる。現在「超学際」と呼ばれる新たな学術の動きとも近い。
 地域構造をふまえて政策を考える客観的な視点(地域科学)もある。一方、「わたし」の「生活」から考え、様々な関係性、つながりとして地域を捉える視点、さらには人間を「移動する存在」とみて、ここから人と地域との微妙で複雑な関係を考える視点も示される。こうした複眼的な視点から、地域に埋没してしまいがちな個人を救い出し、逆に地域の諸問題を照らし出す。起点として生活の場、ローカルな空間が重要だが、ここからナショナル、グローバルにも展開するものとなる。

鳥取大学
副学長(入試担当)

藤井 正

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