陸王

推薦文

陸王
著者:
池井戸潤著
出版社:
集英社
ISBN:
9784087716191
所蔵:
中央図書館 開架
913.6:Ike

 TV化などで、ご存知の方も多いかと思いますが、本書は、老舗の足袋業者が、足袋で培った技術をもとにランニングシューズ開発の道をすすみ、その業界の巨人に立ち向かうというサクセスストーリーです。
 優れた技術がどのようにして生まれるのか、目標に向かう情熱が周囲の人たちをどのように動かすのかという点は、大学の技術を社会に還元していく際に重なる部分が多いように感じます。
 また、感動のサクセスストーリーを支える注目点として、知的財産の取り扱いや情報管理の重要さの暗示です。
 例えば、実現化するための必要な技術の特許をもった人が仲間に入りその後の製品化に貢献することは、製品化と知財との関係を感じることができますし、大企業の元社員が主人公側に協力する行為は、大企業にノウハウ流出をもたらし、情報管理が甘かったという見方もでき、研究・開発での重要な視点も感じてもらえると別の楽しみもできると思います(この点に関心ある方は、「陸王」を題材にしたパンフレット「知財を使った企業連携4つのポイント」が特許庁HPからDLできます。)。
 技術を中心とした感動の展開とともに、研究・開発の落とし穴を教えてくれる点から、学生さんだけでなく、研究者の皆さんにもお薦めしたい一冊です。

鳥取大学
研究推進機構研究戦略室統括URA教授

居島 一仁

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