数学30講シリーズ

推薦文

数学30講シリーズ
著者:
志賀浩二著
出版社:
朝倉書店
ISBN:
9784254114768 ほか
所蔵:
中央図書館 開架 ほか
413.67:Koy

 これは,大学で学ぶ数学の基礎となる分野を扱う10巻から成る数学書のシリーズです.「微分・積分」,「線形代数」,「集合」,「位相」,「解析入門」,「複素数」,「ベクトル解析」,「群論」,「ルベーグ積分」,「固有値問題」の10主題が,それぞれ一つの巻に30講の形で初学者向けにテンポ良く解説されています.例えば第1巻「微分・積分30講」では,数直線,実数,2次・3次関数のグラフ,三角関数など高等学校でも扱う基本的な事柄をじっくり解説するところから始まり,テイラー展開,ウォリスの公式等のテーマに到達する構成で,数学から少し離れてしまった人にとっても取り掛かり易い内容です.また,第5巻「解析入門30講」では,第1巻の微分積分より少し進んだ解析学入門,として題材が選ばれています.
 全巻を通して,数学的事実がはっきりと提示されることと並行して,数学上の様々な概念の定義や導出された定理・公式の意味,考え方,構築された数学における位置づけなども丁寧に述べられており,この点が一般的な教科書と大きく異なる特徴の一つとなっています.
 まだ本格的に数学を学んでいない人も,大学で引き続き数学を学んでいる人も,興味のある主題の巻があれば,一度読んでみられてはいかがでしょうか.

鳥取大学
教育支援・国際交流推進機構教育センター准教授

井上 順子

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