峰地光重著作集

推薦文

峰地光重著作集
著者:
峰地光重著作集刊行委員会編
出版社:
けやき書房
ISBN:
9784874525692 ほか
所蔵:
中央図書館 開架 ほか
370.8:Mi42:(1)-(18)

 峰地光重(1890-1968)は鳥取県西伯郡生まれ。1911年鳥取県師範学校を卒業し、県下の小学校に奉職した。1922年『文化中心綴方新教授法』を公刊、史上はじめて「生活指導」という語を使用し、よりよい綴方を生むためには生活の指導が不可欠で、さらに綴方の上に現れた生活を指導することでよりよい生活に導くことができると説き注目を集めた。1923年鳥取県師範学校附属小学校教員となり芸術教育などをリードし、児童向け雑誌『小鳥』を発刊。1924年、請われて大正期「新学校」で最もラディカルな実践を行った私立池袋児童の村小学校教員となる。1928年に帰鳥。倉吉の上灘小学校校長として、農会と協力した生産教育や郷土教育を行う。同時に教育結社「伯西教育社」(雑誌『国・語・人』を発刊)の顧問を務め、後輩を育てた。1942年綴方教師弾圧事件(三浦綾子『銃口』1994参照)にまきこまれ、その後は農業に従事。戦後は岐阜県の小学校の分校に助教諭として勤務し、自然観察を中心とする実践記録を発表した。鳥取だけでなく日本の教育実践史を明らかにする上での重要人物である。著作は国語教育だけでなく、郷土教育(地域調査や自然観察を含む)、生産教育など教育論全般にわたり、学ぶべき点が豊富にある。卒論でも少なくない学生が取り上げてきている。まず、第16巻の「私の歩んだ生活綴方の道」から読むと良いだろう。

鳥取大学
地域学部長

山根 俊喜

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