精神衞生講話

推薦文

精神衞生講話
著者:
下田光造著
出版社:
同文書院
ISBN:
所蔵:
中央図書館 集密(和書) ほか
498:Sh51:(1)

 私が推薦する書籍は、下田光造著の「精神衛生講話」です。
 著作者である下田光造先生は、鳥取県河原出身の第二代鳥取大学の学長です。また、草創期の鳥取大学医学の創立に尽力された先生でもあります。そして活躍の舞台は鳥取県内だけに止まらず日本の精神医学界にも大きな足跡を残された方でもある。
 「下田光造先生を偲んで」のなかに、学生寮の生徒の栄養補給の為に川に鰻を捕りに行ったり、学会出張の列車はいつも三等席(下等)を利用したりというというエピソードが書かれていました。この逸話は、先生の学生思いの人柄と、質素な生活の様子がよく表れていると感じました。
 推薦するこの「精神衛生講話」は、内容だけではなく言葉の一つひとつが平易であり、奇を衒うことのないその文章は、その行間に著作者の人柄がよくあらわれているように感じました。まさに「文は人なり」です。
 序には、この本が岩波書店から戦前の昭和17年発行されたものの改訂版であるということが明かされています。そしてまた、この本の昭和32年に発行から60年を超えた今でも、その言葉は色あせることもなく、現代社会を考察する上で興味深いものと感じました。
 過去から現在へ、そして未来へ読み継がれるおすすめの1冊です。

鳥取大学
医学部附属病院

ハラ サエ(P.N.)

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