スペース・プラン : 鳥取の前衛芸術家集団1968-1977

推薦文

スペース・プラン : 鳥取の前衛芸術家集団1968-1977
著者:
スペース・プラン作; 筒井宏樹編著
出版社:
アートダイバー
ISBN:
9784908122149
所蔵:
中央図書館 開架 ほか
719.087:Sup

 今から50年ほど昔、鳥取砂丘で4mもある巨大な抽象的立体物が12個、3mのポールが100本、砂を詰めたビニール袋が4000個など、等間隔に並べられた美術のグループ展があったんです。今その記録写真を見ても、鳥取砂丘にもかかわらず、どこか別の惑星のような不思議な光景となっています。その面積は4ヘクタールで、東京ドーム1個分弱になります。当時おそらく世界最大規模の美術展でした。
 山陰地方の風土を生かして、先進的な試みを行ったのは「スペース・プラン」という鳥取の前衛芸術家集団です。メンバーは谷口俊(1929–)、フナイタケヒコ(1942–)、山田健朗(1941–)などで、彼らの多くは鳥取大学出身者たちでした。当時20代から30代であった彼らは、それぞれ中学校教諭、市役所職員、デザイナーなどの仕事をしながら、自分たちの熱意で、1969年から77年までのあいだに13回もの展覧会を行いました。
 湖山池青島や仁風閣前庭など、鳥取市各所で野外展を積極的に試みた彼らの活動は、山陰地方の当時の若者のひとつの足跡を示しています。今までまったく顧みられていなかった「スペース・プラン」ですが、2019年に1冊の本にまとめられ、その全貌を知ることができるようになりました。鳥取大学出身者たちによる50年前の情熱的な実践を、ぜひこの機会にご覧ください。

鳥取大学
地域学部地域学科准教授

筒井 宏樹

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