大漢和辞典

推薦文

大漢和辞典
著者:
諸橋轍次著
出版社:
大修館書店
ISBN:
9784469031393 ほか
所蔵:
中央図書館 集密(和書) ほか
813.2:Mo75:(1-12, S)

私の「工具書」
 「工具書」とは、研究上どうしても必要な「道具」としての書物、という意味です。書物を工作の道具にたとえるなんて、どこか職人の仕事めいて素敵だと私は思います。
 私にとっての工具書といえば、やはり《諸橋大漢和》でしょうか。大学に入学したとき、知り合いの本屋の店主が、お祝いに一揃いをプレゼントしてくれました。小さな縮刷版でしたが、それでも13冊もあるので、最初のうちは調べたい言葉を探すのに骨が折れました。
 それでも使い慣れるにしたがい、検字の手際もよくなるものです。総画索引や字音・字訓索引によって引いていたのが、ほぼ部首によって引くことができるようになり、さらに友人から「四角號碼索引」(漢字の四隅の形から検索する方法)の使い方を教わるなどして、知らない漢字を引くことにも不便を感じなくなっていきました。
 本学で勤め始めたとき、長年引きなれた《諸橋大漢和》は自宅に置き、大学では附属図書館1Fに備付けのものを使うことにしました。研究領域が日本近世の書論研究から、近代の書簡研究へと移ったので、附属図書館で字調べをする機会は次第に減りましたが、私にとっては現在でも、研究生活の原点であり、出発点であるに違いありません。

鳥取大学
附属学校部長

住川 英明

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