修身教授録 : 現代に甦る人間学の要諦

推薦文

修身教授録 : 現代に甦る人間学の要諦
著者:
森信三著
出版社:
竹井出版
ISBN:
9784884741723
所蔵:
中央図書館 開架 ほか
150:Shu

いかに生きるかをやさしく説いた「知と実践の融合」から「智と実践の融合」に誘う書
 哲学者で教育者であった森信三先生が昭和12~14年に大阪天王寺師範学校(現大阪教育大学)で行われた「修身科」の授業の口述記録.当時の徳目的に偏り過ぎた検定教科書に満足されなかった先生が,自らの言葉で全霊をかけて生徒達に語りかけたことが伝わってくる2年分79講が収められている.
 各回の講義は,生徒達に身近で具体的なテーマをもとに,人としていかに生きるべきか,人生の指針を与えている.1講は1時間であるから数ページであり,それぞれに題名がつけられているので,どこからでもすぐに読むことができる.
 例えば「学問・修養の目標」の講では,学問修養をするのは,人となる道を明らかにするためであり,自分が天から受けた本性を十分に実現する途を見出すためであると述べ,そのためにどうすればよいかが具体的に十代半ばの生徒に分かるように述べられている.
 「仕事の処理」では,坐禅や読書も修養上大事ではあるが,それらの目的は日常生活を真に充実させることにあり,最も手近には自己のなすべき仕事を着々と行っていくことで,仕事の意味をよく知り,その意義の大きなことが分かれば,次々と果たしていけるはずで,それこそが人間としての真の修養であり,いかにすればその道にたどり着けるかが語られている.
 まさに「知と実践の融合」から「智と実践の融合」へと進んでいく道しるべとなる本.鳥取大学の学生,教職員みんなにぜひ読んでみていただきたい1冊である.

鳥取大学
理事(企画・評価担当、広報担当、ダイバーシティ推進担当)・副学長

細井 由彦

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